温暖化防止キャンペーンニュースレター
2025年2月
はじめに
2024年、温暖化による気温上昇が1.5°Cのしきい値を超えた最初の年 2024年12月
2015年にパリで開催された国連気候変動会議(COP21)では、産業革命以前の水準と比べて地球温暖化を1.5°Cに抑えるという意欲的な目標が設定された。署名した195カ国は、地球の気温上昇を「産業革命以前の水準から2℃を大幅に下回る」よう可能な限り努力し、「産業革命以前の水準から1.5℃の上昇に抑える努力を追及する」ことを約束した。
この目標を達成するため、署名国はエネルギー転換の加速化、炭素吸収源の保護、温室効果ガス排出量の削減、そして支援を必要とする国々への資金援助を行うことを約束した。
1.5°Cを超える気温上昇は、不可逆的な影響をもたらす(取り返しのつかない結果を招く)。永久凍土が解け、それにより海面上昇が加速し地球温暖化もさらに進むだろう。
日本の気象庁によると、全国の平均気温は2023年の記録的な高さを「大幅に上回った」と報告されている。
さらに悪いニュースがある。国連の気候報告書は10月、今世紀中に地球が摂氏2.6度から3.1度上昇するという厳しい警告を発表し、大きな話題となった。


その結果、熱中症、飢餓、病気により何千万人もの人々が命を落とすことになる。地球の広大な地域が居住不可能になるであろう。

地球の「バイタルサイン(生命徴候)」の多くが記録的な極限値に達しており、「人類の未来が危機に瀕している」と世界の最も権威ある気候専門家たちが指摘している。2023年には、35の指標のうち25がこれまでで最悪の状態を記録し、その中には二酸化炭素濃度や人類の人口問題も含まれている。
科学者たちは社会崩壊の可能性について調査している。研究者たちは、「気温上昇を0.1°Cでも抑えることが極めて重要である」と述べている。「0.1°Cごとに、さらに1億人が前例のない高温環境にさらされることになる。」

地球温暖化や地球沸騰化の影響はすでに出ている。この原稿を書いている間にも、ロサンゼルスでは火災が壊滅的な被害をもたらしている。山火事のリスクが非常に高いため、カリフォルニア市場の80%を占める大手保険会社の少なくとも12社が、山火事保険の提供を停止するか、新規契約を制限している。2024年には、アメリカ最大の損害保険会社であるステートファームが、山火事のリスクが高すぎるとみなされた特定のカリフォルニア州の郵便番号地域で、約72,000件の保険契約を更新しないと発表した。

昨年、湿度と気温が生存可能な限界を超えたため、1,300人以上のハッジ巡礼者が命を落とした。

深刻な債務問題に直面している54か国のうち、28か国が世界で最も気候変動の影響を受けやすい上位50か国に入っている。それにもかかわらず、ここ数年、気候ファイナンス(気候資金)の70%は融資の形で調達されており、これが債務と気候変動の悪循環を助長している。気候資金は債務を生み出すものであってはならない。
こうした課題は、政府の公共サービスへの投資削減や、食料やエネルギーへの補助金の削減が巨額の債務によって引き起こされる事でより悪化し、必要不可欠な資源へのアクセスをさらに制限している。こうした緊縮策の一部は、気候対策関連資金にアクセスする必要がある国々に対する条件として、国際通貨基金(IMF)などの多国間機関によって指示されている。 これは、レジリエント・サステナビリティ・ファシリティ(RSF)の事例である:つまり一方では、エネルギー転換やその他の気候変動へのレジリエンス強化の取り組みに投資するための資金を提供し、他方では、IMFプログラムの条件によって課される財政再建の対象となっている。

化石燃料業界団体であるアメリカ探査・生産協会(AXPC)は、トランプ2.0政権の下で気候政策を撤廃し、石油とガスの生産を促進することを計画している。

2023年には、少なくとも週に3人の環境保護活動家が殺害された。
Carbon Rangers/Ecozoic Times
October 1, 2024
Vol. 17, No. 8
COP29の肯定的観点
重要な成果の一つは、2030年までに年間気候資金を3倍の3,000億ドルに増やし、2035年までに1.3兆ドルを目指すという合意である。これは一歩前進ではあるが、発展途上国のニーズを満たすために毎年必要とされる2.4兆ドルに比べると、微々たるものである。
損失損害基金の運用開始は、脆弱な国々に希望を与えている。しかし、約束された約7億3,000万ドルは、せいぜい象徴的なものに過ぎない。
パリ協定第6条に基づく炭素市場メカニズムの進展は、排出削減の道筋を提供するが、こうしたメカニズムが搾取を永続させるのではなく、地域社会に利益をもたらすように倫理的な安全策を最優先にしなければならない。
COP29 否定的観点
残念ながら、今回の合意は緊急に必要とされるものには程遠いものだった。 200か国の代表団は、重要問題に対する合意を得るのに苦労した。石油大国サウジアラビアの代表団は、すべての交渉の流れで化石燃料に関する言及を繰り返し阻止しようとした。
VIVATインターナショナルのオブザーバーであるアディンドゥ・カチ神父は、アフリカにおける社会的・環境的正義を促進するよう宗教団体とキリスト教共同体に呼びかけた。市民社会からの圧力だけが、二酸化炭素排出の削減、気候変動への経済の適応、気候変動によって開発途上国で、すでに発生した損失と損害の補償、化石燃料からのエネルギー転換への資金調達を通して、政府や企業に対して地球温暖化を抑制する意欲を高めるよう働きかけることができるからである。
JPIC委員会 USG/UISG 2024年11月~12月
正義、平和、創造の完全性委員会 USG-UISG

JPIC委員会は、すべての善意の人々に、公正な政策を提唱し、指導者達の責任を追及し、持続可能性と連帯を促進するライフスタイルを受け入れるよう呼びかけている。私たちは、温室効果ガス排出削減への支援が不足しているとして、特に裕福な国々に対して異議を唱える事に関して、自分自身や地域社会、そして組織に対して、何をしているかを問い直す必要がある。 最も弱く、最も気候変動への関与が少ないにもかかわらず、最終的に最も大きな負担を強いられる人々を支援するために、私はどのような貢献が出来ているのだろうか?
重要なのは、次のような将来を予測する(予言的な)声を上げて、支え続けることだ:
― アフリカ諸国の当面の財政負担を軽減するため、不当な債務を取り消し、 ― より公平な資本と資源へのアクセスを確保するための金融機関の改革、 ― 金融評価の透明性と公平性を促進するための偏った信用格付けの廃止。
原因
メタン(CO2よりもはるかに強力な温室効果ガス)の排出は依然として増加している。
最近のメタン急増は、熱帯の浸水(氾濫)地域からの排出量の増加を示している。
2024年12月

気候資金:多国間開発銀行からの資金提供 2024年11月
国際組織Recourseの最近の調査によれば、多国間開発銀行からの気候資金は、化石燃料や高汚染を引き起こすプロジェクトに提供されており、最も気候に脆弱な国々への優先順位が欠けていると、国連気候サミットで発表された。 ヨーロッパ諸国が最も多く、そのシェアは44%を占めている。

金属や鉱物の需要急増に対応するため、鉱山業者が森林を伐採
2024年10月
影響(結果)
ハリケーンが非常に強力になり、新たなカテゴリーが必要に 2024年2月

世界の河川が30年ぶりの速さで干上がる 2024年10月

アマゾンの記録的干ばつ、気候変動が原因 2024年1月

チリのリチウム、環境を犠牲にしたエル・ドラド 2024年2月
チリを本拠地とするソキミッチ社は1990年代に地元住民の同意なしに進出した。そして、すでに世界で最も乾燥しているこの砂漠で、農民たちの水資源を奪った。
光合成が妨げられる 2025年1月
気温の上昇は熱帯林の光合成能力に深刻な影響を与えるだろう。これにより、大気中の二酸化炭素を吸収する能力が低下し、地球温暖化の緩和という役割を果たせなくなり、気候変動を悪化させることになる。

気候変動が植物の栄養価を低下させている - それがすでに草食動物に悪影響を与えている可能性がある 2024年12月

翼が縮み、くちばしが大きくなる:鳥たちは温暖化する世界で自らの姿を変えつつある 2024年12月

ポジティブ(前向きな観点)
あらゆる記録を塗り替えたソーラー発電
2025年1月
太陽光発電は、史上最も安価な新電力となっただけでなく、これまでに導入されたエネルギー技術の中で最も急速に成長しているエネルギー技術である。国際エネルギー機関(IEA)は、太陽光発電の導入ペースは、2050年までにネット・ゼロを達成するために必要な軌道を上回っていると発表した。
Carbon Rangers/Ecozoic Times
Vol. 18, No. 1
ペルー、過去最多の先住民の土地所有権を付与 2024年10月
2023年6月から2024年5月にかけて、ペルーのアマゾン地域で37件の土地所有権が確保された。土地所有権は、先住民の土地を森林伐採から守る最も効果的な方法であることが証明されており、所有権のある土地では森林伐採が66%減少している。
Carbon Rangers/Ecozoic Times
Vol. 17, No. 8
バーゼル、気候変動リスクに関連する世界の銀行の開示を注視 2024年2月 2026年に施行される予定の規則に基づき、世界中の銀行は気候変動関連の金融リスクの開示が義務付けられる。
バルバドス、世界初の気候レジリエンス債務交換を完了 2024年12月

南アフリカ、高等裁判所が石炭火力発電計画を覆す
2024年12月

Kikoメルマガ】「Hot Talk Now!?(ほっとくの)温暖化」第350号
サーミ族の悩み
2024年3月
風力タービンは私たちにとって大きな問題だ…風力タービンが1基設置されるたびに、直径5km以内の動物たち、特にトナカイは近づこうとしなくなる。 今、サーミ族のトナカイ放牧地では、ヨーロッパで最大の風力発電プロジェクトが計画されている。それは壊滅的な結果を招くだろう。
私たちは鉱業や水力発電に土地を提供してきたが、今、私たちは気候変動に関与していないのにも関わらずその(気候変動の)代償を支払わなければならない。
世界の過剰消費と、それを推進している資本主義がこの狂気の沙汰を引き起こしたのだ。
これは公正な移行ではない。私たちは生活、文化、そして未来を放棄しなければならないのだ。
誰の星?気候正義のポッドキャスト
障害を持つ人々に対する差別
2024年3月
世界人口の15%を占めている障害を持つ人々はしばしばスケープゴートにされてしまう:ストロー、使い捨てプラスチック、電気機器
障害者との相談が必要である:例えば、使い捨てプラスチックの禁止や車の禁止などに関して。
誰の星?気候正義のポッドキャスト
植民地主義の遺産がカリブ海諸国をハリケーン被害を受けやすくしている 2024年10月
植民地支配は、カリブ海の人々が土地とどのように関わり、どこに住み、自然災害からどのように回復するかを変えてしまった。
ヨーロッパ人は地元の食糧供給を維持できる作物を栽培するのではなく、搾取的な採取経済モデルと、プランテーション経済による換金作物の輸出に焦点を置いた。
彼らは先住民を強制的に土地から追い出し、沿岸部に集落を建設した。その結果、奴隷や商品を輸入したり、サトウキビやタバコなどの換金作物をヨーロッパに輸出することが容易になり、またコミュニティは嵐に対して脆弱な状態となった。さらに、彼らは低地、しばしば川や小川の近くに集落を造成した。これらは農産物の輸送を可能にしたが、大雨時には洪水のリスクを伴うことになった。

パナマのグナ族、海に飲み込まれる島からの移住を余儀なくされる 2024年11月

ジンバブエの干ばつが野生動物に影響を与え、人々との衝突を引き起こす 2023年11月

タンザニア、ビクトリア湖の住民が水位上昇に苦しむ 2024年12月
ケニアの女子生徒がどのようにして木々と恋に落ちたか 2024年10月
エリヤンヌ・ワンジク・クリシュタウンは、わずか4歳の時に、ケニアで最も有名な植樹活動家でありノーベル賞受賞者であるワンガリ・マータイ教授からインスピレーションを受け、問題に取り組む決意を固めた。
(Google検索)
「私は幼稚園で、マーティン・ルーサー・キング、ネルソン・マンデラ、フローレンス・ナイチンゲールのような世界に変化をもたらした人々についてのプロジェクトに取り組んでいました。」
「しかし、私をインスパイアしたのは、ケニアの素晴らしい女性ワンガリ・マータイでした。彼女はコミュニティで何百万本もの木を植えることで、植樹で何ができるのか、そしてそれがどのように国や大陸を発展させるかについての認識を広めました。」
マータイ教授は、特に農村地域で、女性たちが木を植えることによって環境を改善し、燃料源を提供し、森林伐採や砂漠化を遅らせることができるという考え方を提唱した。
彼女は2004年に初の黒人アフリカ系女性としてノーベル平和賞を受賞し、また初の「緑の」ノーベル賞受賞者とも称された。
マータイ教授は1977年にグリーンベルト運動を創設した。 彼女は2011年に亡くなるまで、ケニアで推定4500万本の木を植えた。
「その時、私はオレンジかレモンを食べていて、種を取って…土に植えたんです。そして、それが成長し、芽を出し始めました」とエリヤンヌは言う。 「私は自分がしていることに恋をしました。それで、もっとたくさん植えたのです。」
これがきっかけで、彼女は木の背後にある科学について学ぶようになった。 家族の支援を受け、エリヤンヌは2017年に非営利団体「Children With Nature」を立ち上げるに至った。
エリヤンヌはこう述べている「Children With Natureを通じて、私は子どもたちに教えたかったんです。彼らの中には、自分たちが住んでいる地域をどのように変える事ができるかを知らない子もいます」
彼女は2020年までに約25万本の木を植えたと語っているが、ケニアだけでなく海外にも木を愛する「コミュニティ」を築き、共に130万本を超える木を植えたとも語っている。
学校と世界を旅する活動家としての時間の使い方について、14歳の彼女はこう答えた。「学校は私にとってとても簡単で、素晴らしい成績を取っています。私は自分をとても誇りに思っていますし、母も誇りに思っています。」
「私の一番の夢は、アフリカのグリーンベルトに木を植えることです」とエリヤンヌは言う。

インドの「香辛料の国」で農民たちが猛烈な暑さに苦しむ 2024年11月

「めまいがするけど、止めることができない」:地球温暖化はすでにインドの窯職人たちの生活を耐え難いものにしている 2024年12月

パキスタンの漁民たちが過酷な気候と戦う 2024年11月

気候変動がもたらすスリランカの女性への家庭内暴力の代償 2024年2月

気候変動の中で生き残るために苦しむベトナムの農民たち 2024年10月

テクノロジー
「EVの環境への影響を現実的に考えよう」 2024年2月 「EVは環境に優しいはずですが、実際には環境問題を引き起こしており、もし企業がそれに気づいている場合でも、言いにくいのが現実かもしれません」と東京大学産業技術研究所の教授で所長の岡部徹氏は言う。
EVのバッテリーやモーターには大量の希少金属が含まれている。地下から鉱石を採掘し、有用な金属を抽出する過程で、膨大な量の有害物質が発生する。日本は有害物質が取り除かれた「クリーン」な製品のみを輸入しているが、私たちはその川上(上流)の環境リスクを認識する必要がある。
資源の採掘や精製プロセスで生じる害についてはほとんど議論されていない。1台の車を作るために、何百倍もの廃棄物を生み出すのだ。
私は、今後の20~30年の間に、コスト面で実現可能な環境に配慮したエネルギー技術を確立するのは難しいだろうと考えている。

日本
日本のエネルギー計画は真の気候解決策を危うくする(抜粋) クライメート・インテグレート代表、平田公子 2025年1月
昨年12月、日本政府は温室効果ガス排出削減に関する弱い目標を設定した草案を承認した ― 2035年までに2013年の水準から60%の削減 ― そして、第7次エネルギー戦略計画では、化石燃料と原子力の使用を継続する意向を示した。
この政策の方向性は、深刻な気候変動を防止する緊急の必要性に合致しておらず、日本のような先進国の責任を果たしていない。
2024年には膨大な数の政府委員会が開かれ、把握しきれないほどだったが、その結果はほぼ事前に決まっていた。
残念なことに、日本ではより野心的な気候目標を支持する政治的リーダーシップが欠如しているという現実がある。政府は、2011年の福島原発事故後に行った原子力エネルギーへの依存を減らすという約束を撤回し、新たな原子炉の建設を承認した。これは大きな政策転換だが、公開討論、公聴会、協議も行われないまま決定されたものである。
石炭の段階的廃止に対する取り組みの欠如は、「化石燃料からの脱却」及び「2035年までに電力部門の完全または大半の脱炭素化を達成する」事を目的とした昨年の主要7カ国(G7)首脳会議で合意された内容と矛盾している。一方で、日本の再生可能エネルギーは必要な支援と注目を十分に受けていない。
政府が使用したモデルシナリオは、化石燃料や原子力発電を有利にする前提が設定されており、再生可能エネルギーは、バッテリーや送電網の整備など、不安定性を管理するための追加費用のために高コストになると示唆している ― これらのコストを軽減するために、日々や季節ごとの変動を柔軟に管理するさまざまな方法が利用可能であるにも関わらず、それが考慮されていないのだ。

日本が風力発電に大規模な投資を行う中、住民の一部は反対の声を上げている 2024年1月
石狩では、洋上風力発電プロジェクトが進行中だが、活動家たちはその開発が不可逆的な環境破壊を引き起こすのではないかと懸念している。
「石狩湾エリアは春と秋の渡り鳥のルートであり、風力発電の風車が鳥の衝突を引き起こすのではないかという懸念があります」と、建設に反対する石狩市民団体の共同代表である加須屋尚子さんは言う。
「また、豊かな漁業資源の喪失についても懸念されています。特に風車が沿岸の漁師たちに与える影響についてです。」

ASEANは、カーボンニュートラルへの移行により、2050年までに3兆ドルから5兆3,000億ドルに上るビジネスチャンスが生まれると予測している。これは、日本にとって革新的な技術を国内で商業化しながら、それらを海外に売り込む絶好の機会となる。これらの技術には、化石燃料に水素やアンモニアを混合し、燃焼時のCO2排出を削減する次世代型火力発電、回収したCO2を埋め立てたり再利用したりするための炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)、および水素と炭素から生成される合成燃料が含まれる。

発電コスト検証に関するとりまとめ(案)が示される
2024年12月
12月、第5回発電コスト検証ワーキンググループが開催された。電源別コストの試算では変動再エネの設備容量に占める割合を5割から6割に増やした段階で事業用太陽光の発電コストが大きく上昇することから、割合を5割程度にすることがコスト最適であることを示唆する結果が示された。
【Kikoメルマガ】「Hot Talk Now!?(ほっとくの)温暖化」第350号
発電コスト検証作業部会 2024年12月
発電コスト検証作業部会は、電源別のコスト試算結果を発表した。可変型再生可能エネルギーの導入容量比率を50%から60%に引き上げた場合、商業用太陽光発電の発電コストが大幅に増加したことが示され、比率を約50%程度に抑えると最適なコストとなる事が示唆された。
脱炭素化したASEANは、日本の重要なサプライチェーンを維持するためにも不可欠である。日本企業の海外子会社の30%がこの地域に所在しており、ASEANは日本の製造業にとって重要なグローバル輸出拠点となっている。しかし、欧州連合の炭素国境調整メカニズムのように、輸入品の炭素排出量に基づいて課税する措置は、炭素集約型製品に対する貿易障壁の強化の始まりを示唆している可能性がある。そのため、ASEAN諸国の脱炭素化の遅れは、日本経済に深刻な脅威をもたらす可能性がある。

日本では、価格の上昇と労働力不足に伴う採算性への懸念から、洋上風力発電プロジェクトの開発への関心が低下している。経済産業省が火曜日に行った洋上風力発電プロジェクトの第3回入札でも、関心の薄れが見られた。
地域動向
2024年12月
杉並区議会 1.5℃目標達成、第7次エネルギー基本計画改定を求める意見書を可決
杉並区議会は、国際社会と将来世代に1.5℃目標を達成する責任を果たすべく、第7次エネルギー基本計画の改定を求める意見書を議決した。
【Kikoメルマガ】「Hot Talk Now!?(ほっとくの)温暖化」第350号
日本の若者が電力会社を提訴 2024年10月
16人の日本の若者たちが、気候変動による異常気象から青少年を守る基本的人権があるとして、来週から始まる裁判で日本の大手電力会社を提訴する。

テクノロジー(技術)
三菱ケミカル、太陽光パネルのリサイクルコストを20%削減 2023年10月 東京 ― 三菱化学グループは、太陽光パネルからガラスや金属をリサイクルし、コストを20%から30%削減する技術を開発した。これは、日本の持続可能な再生可能エネルギーの取り組みにつながる可能性がある。

日本、原発20基分に相当する次世代太陽光発電に注目 2024年12月 日本政府は、薄くて曲げられるペロブスカイト太陽電池を使用し、2040年度に原子炉20基分に相当する約20ギガワットの発電を計画している。
夏の日にソーラーシェアリング
2024年10月
千葉県匝瑳市にソーラーシェアリングの視察に伺いました。ソーラーシェアリングとは、農地の上にパネルを置いて、農作物を作りながら、太陽光で電気も作る仕組みのことだ。農作物と太陽光を“シェア”する(分かち合う)ので、パネルの下の農作物にも太陽の光が届くように、パネルの幅は通常の3分の1だ。すなわち農地の3分の2の面積に太陽光が降り注ぐため、多くの植物の光合成には十分な光を確保できる。
[CAN-Japan] CAN-Japanメールニュース(2024年12月24日配信)
地方自治体のEV普及戦略
2024年10月
地方自治体が地域の特性を踏まえて電気自動車普及戦略を策定し、持続可能な未来社会の実現に向けた取り組みを進めるための指針を提供するため、「地方自治体のEV普及戦略(2024年版)― EV充電インフラ整備ガイドライン」を作成しました。

[CAN-Japan] CAN-Japanメールニュース(2024年12月24日配信)
否定的観点
世界は脱石炭に向けた結束を強化、日本は不参加 COP29で、欧州連合(EU)と英独仏などにオーストラリアも含めた25か国が、石炭火力発電所の新設を行わないことを約束する有志連合を発足させ、他国にも追随するように求めたにも関わらず、日本は不参加のままだ。
Japan Beyond Coal E‐ニュース 第51号 2025年1月3日
プラスチック
飲料ボトルから衣服に至るまで、あらゆるものに含まれているマイクロプラスチックが、大腸癌や肺癌に関係していることが国際的な研究によって明らかにされた。 マイクロプラスチックは、5ミリ以下のプラスチックで、血流に入り込んだり、知らず知らずのうちに摂取されたりするほど小さいサイズである。
それらは、プラスチック容器、飲料ボトル、衣類、さらには車のタイヤから剥がれ落ちたマイクロファイバーなど、あらゆるものに含まれている。
再生可能エネルギーと電気自動車は安くなり、送電網はより環境に優しくなり、石油およびガス会社は不安を感じている。だからこそ、化石燃料の大手は、次の主要な成長市場として石油化学製品、特にプラスチックに注目しているのだ。

人工芝は今や国内最大級のマイクロプラスチック流出源と指摘され
【日消連だより】2024年12月「消費者リポート」のご紹介
廃棄混合プラスチックの有効利用へ 静岡大などがリサイクル新技術
2024年12月

カトリックニュース
ケニアのタルベの聖ヨセフ修道会が持続可能な開発賞を受賞 2024年1月
ケニアでは農業部門がケニア人口の80%以上にとって生計、雇用、収入、食料安全保障の源となっている。
その重要な役割にもかかわらず、貧困の変動(ダイナミクス)が社会の様相を変えつつあり、人口の46%が1日1ドル以下で生活し、36%が食料不安に直面し、5歳未満の子供の35%が慢性的な栄養失調に陥っている。
気候変動は農民、特に雨水に依存した農業に慣れた農民が直面する課題を悪化させている。多くの農民は、より乾燥した辺境の地域へ移住せざるを得なくなり、その結果、干ばつや予測不可能な天候パターンに対する脆弱性が高まっている。
Sr.ジョセフィン・クウェンガは、特にパーマカルチャーの実践を通して、再生農業を推進することを決意した。
私は、同じ志を持つ12人の農業パートナーを集め、ケニア各地のさまざまな村でより多くの農家に支援の手を差し伸べるべく、活動の規模を拡大してきた。

フィリピンの司教、信仰主導の気候変動対策を促す
2024年11月
フィリピンのジェラルド・アリマネ・アルミナザ司教は、気候変動問題に対する信仰に基づく解決策を提唱する代表的な人物として登場し、世界的な結束を育む上で信仰共同体が果たす役割を強調した。
アルミナザ司教は、カリタスフィリピンの副会長として、またインテグラル・エコロジーのための国内司教協議会の代表として、COP29の周辺会合に参加した。

教皇のエコロジー担当者が西アフリカに赴き、「グリーンチャーチ」プロジェクトを促進
2024年1月
カーディナル・ミカエル・チェルニー、バチカンの社会問題担当の大司教が、ベナンを4日間訪問し、地域教会の「私たちの共通の家」を守るためのプログラムを支援した。
ベナンの「グリーンチャーチ」プログラムが、ドミニコ会の修道士による先駆的な「ゼロ・ウェイスト」農業システムを採用 2024年1月
バチカンがCOP29の停滞を招く一因
2024年12月
COP29で、バチカンはロシアやサウジアラビアと共に、ジェンダーに関する問題を扱う言語の採用に反対し、ジェンダーに関する教義を守るために立場を取った。このことがCOP29の停滞を招く一因となった。
米国
シカゴ大司教区は、約400の教区、学校、オフィスを100%再生可能電力に切り替えた。
2024年1月
The Tablet 13 January, 2024
バージニア州の平和の聖母マリア教区では、電気自動車の展示会を開催し、EV車を所有する教区民が車を披露する機会を提供した。
カトリック気候連盟 ニュースレター2024年11月
アメリカの27の教区が「ラウダート・シ行動綱領(LSAP)」に参加し、7年間の持続可能性への取り組みを約束した。 カトリック気候連盟 ニュースレター 2024年11月
全世界で総額3兆ドルを管理する教区を含む27の宗教団体が、化石燃料への投資から撤退した。 2024年11月
日本
司教団は『見よ、それはきわめてよかった ― 総合的なエコロジーへの招き』を発表した。是非読んで下さい。

統計
食料は気候変動全体の約3分の1に寄与しており、その中には以下が含まれる:農業用地の開墾、 森林破壊、家畜の飼育、作物の生産、加工、輸送、包装、調理、食品廃棄物
見落とされがちなのが、食品の調理方法である。
食品によっては、調理方法が食品自体の生産よりも大きく気候変動に寄与しているものもある。
気候変動の観点で最悪の調理方法はオーブンである。 例:ジャガイモをオーブンで焼く 「自然食品」の裏にある人工的な秘密。
出典: ABCラジオ・ナショナル 番組名: Future Tense 2024年12月20日
国連環境計画(UNEP)の推計によると、世界の温室効果ガス排出量の8%から10%が消費されない食料に関連している。「もし食品ロスと廃棄が一つの国であるとすれば、それは温室効果ガス排出量で世界第3位の国になるだろう。」

海洋は、私たちが排出した炭素の約3分の1と、化石燃料の燃焼によって発生した過剰な熱の90%以上を吸収している。 2024年10月

私たちにできること
最新の情報、またウェビナー、会議、シンポジウム、署名運動、デモなどの知らせは、下記の市⺠団体のウェブサイトをご覧ください。
Climate Action Network Japan (CAN-Japan)
国際環境NGO FoE Japan
気候ネットワーク
Fossil Free Japan

350 Japan
「ラウダート・シ」デスクのウェブサイト
GreenFaith
編集者の連絡先(マッカーティン)
ondankaboushi@gmail.com